
【5分でわかる】黒人差別とバス座席分離解消【最高裁が違憲と判断】

現代では黒人の大統領が誕生するほどアメリカでは白人と黒人の差別がなくなってきています。
黒人が差別を解消し人権を得る大きなきっかけとして公民権運動が挙げられることでしょう。
1954年、バスの座席は白人と黒人で分けられていました。
白人が前、黒人が後ろだったのです。
しかも座席がいっぱいになれば白人のために黒人がバスを降りなければなりませんでした。
黒人差別はどうやって解消されたの?
なぜ黒人は黒人差別を解消できたの?
そんな疑問にお答えします。
箇条書きにするとこうなります
- バスの座席は白人と黒人でわかれていて、席がいっぱいになれば白人優先だった
- バスをボイコット(誰も乗らないように)するよう黒人が市民に呼びかけ、大成功
- キング牧師がボイコット運動の指導者に任命される
- バスの座席分離は違憲だと最高裁で判決が出る
- 座席分離が完全に解消される
【きっかけ】「席はゆずらない」講義した黒人女性が逮捕
1955年、バスの座席がいっぱいになり、バスの運転手は黒人たちに座席をゆずるよう命じました。
しかし黒人たちはだれも応じません。
やがて警官がやってきます。
ひとりの黒人女性、ローザ・パークスが猛抗議します。
「立つ必要はない!」
「どうして私たちをこんな目にあわせるの?」
すると警察官は見せしめとして女性を逮捕したのです。
過去にもバスの座席をめぐったトラブルは起きていましたが、逮捕者が出たのは初めてでした。
チラシを配ってバスのボイコットを呼びかける
公民権運動指導者のE・D・ニクソンをはじめ、黒人たちはバスのボイコットを呼びかけるチラシをつくり、およそ4万人の市民に呼びかけました。
すると白人も含め、そのボイコット運動に協力したのです。
バスに乗るひとはほとんどいなくなり、バスの中はガラガラになりました。

キング牧師がボイコットの指導者に選ばれる【演説はすぐに大成功】
出典:Wikipedia
「ほんとうに僕が適任なのか、自分でもわからない」
「でも他にやる人がいないなら、僕はできる限りのことをやるつもりだ」
とまどいを見せながらも、キング牧師はボイコット運動の指導者を引き受けます。
キング牧師は演説でこう言います。
「権利を奪われ迫害されるのはもううんざりだ!」
「自由と正義と平等を求め前進しよう」
「我々の唯一の武器は抗議と言う手段だ」
「アメリカにはまだ希望がある」
「我々は正しい」
「我々が間違っているなら、最高裁も間違っている。合衆国憲法も間違っている」
「神も間違っているということになる」
演説は大成功し、拍手と大喝采が起きました。
そのときの様子がこちら。
【決定打】「バスの座席分離は違憲」最高裁の判決
1956年11月13日、キング牧師の訴えが受け入れられ「バスの座席分離は違憲」と最高裁の判決が出ます。
そう。キング牧師は勝訴したのです!
バスのボイコット運動は終了し、黒人は差別されることなくバスの好きな座席に乗ることができるようになりました。
【考察】ボイコットが成功した理由
【大きな野望】爆弾を投げ込まれても「恐ろしくはなかった」
ボイコット運動の指導者、キング牧師の家に爆弾が投げ込まれました。
そのときのことについてキング牧師はこう語っています。
(恐ろしくはありませんか?)
「いいえ。私たちは大きな目的のために運動を進めています」
「大切なのは私個人の命ではなく、運動の勝利です」
「人は何かを成すために生まれてきたのです」
「怖がっていては何もできません」
大きな目的を持っていたからこそ、きぜんとした態度でボイコット運動にいどむことができたのでしょうね。
【人間性】キング牧師「非暴力を主張し愛を武器に闘っている」
キング牧師はマスコミの取材に
と答えています。
そのときのようすがこちら。
そうですよね。いくら腹が立つからといって「バカヤロウ!」と大声を出したり「ぶん殴ってやる!」と暴力をふるったりしていては人々の賛同を得られません。
それではゴリラと同じになってしまいます。
人間が人間として扱われるためには、人間性を前面に出すことが必要不可欠です。
また、キング牧師の「牧師」という立場も人々に受け入れられる大きな要因のひとつだったことでしょう。