【弁護士が断言】勤務中の警察官(公務員)に肖像権は【ある】

2023年1月10日

書いた人:いやまん

ITの開発・サポート歴20年。ピアノ配信中はいだしょうこさんを絶賛。

 

警察官撮影禁止

YouTubeなどのSNSで職務質問の動画を見ていると

「勤務中の警察官(公務員)に肖像権(プライバシー)はない!」

というコメントが散見されます。

公務員って

「公(おおやけ)」に「務(つとめる)」「(職)員」

って書きますから、肖像権なんて無さそうな感じがしますが実際はどうでしょう。

「警察官(公務員)の肖像権について意見がわかれてるけど、ほんとうはどっちなの?」

意見がバラバラだとモヤモヤしますよね。

「かといってこれといった根拠を示す人も少ないし・・・」

という疑問にお答えします。

最近ではITテクノロジーの進化に伴い,スマートフォンなどで『撮影される』ことも頻発します。
この場合は,肖像権侵害として止めることはできない,というのが原則です。
ただし,『警察官には肖像権がない』という意味ではありません。

出典:みずほ中央法律事務所

弁護士3名が「肖像権はある」と回答

弁護士

肖像権は存在し得るでしょうが,前述のとおり制限を受け,その様子を撮影したりすることは適法といえるでしょう。

出典:弁護士ドットコム

弁護士

「肖像権は保障されているものの、種々の事情を総合的に考慮すると、肖像権侵害として違法となる場合は少ない」というのがより正確な理解でしょう。

出典:弁護士ドットコム

弁護士

公務員にも肖像権はあります。
ただ、公務員の公務という特性上、一般私人よりと認められる程度が異なっており、受忍限度を超えていると判断される度合いが低いといえます。

>知人が公務中に言動をビデオカメラで撮影されるという被害を受けているんですが、たとえ、無断で撮影されたとしても公務員は甘んじるしかないのでしょうか?

公務の内容や撮影の態様などによります。

公務の内容などから、ビデオカメラで撮影されることが受忍限度を超えていると判断されるかが問題となるでしょう。

出典:弁護士ドットコム

身分を明らかにした弁護士が3人も口をそろえて

「肖像権はある!」

と断言していますね。信用してよいでしょう。

法律はどうなってる?肖像権の最高裁判例

京都府学連デモ事件(昭和44年12月24日)の判決では、肖像権について「個人の私生活上の自由の一つとして、何人も、その承諾なしにみだりにその容ぼう・姿態を撮影されない自由を有する」とされています。

だから警察官が嫌がる手帳の撮影も違法ですね。

YouTubeで職務質問の動画を見ていると

「見せるのはいいけど撮影はダメ!」

っていうシーンを見かけます。

顔写真のところをコピーされるのが嫌だからです。

でもかなり昔の判決です。

逆に言えば肖像権が問題になった裁判はずっと起きてないということですね。

警察官には名前を名乗る義務がある

警察手帳規則五条
職務の執行に当たり、警察官、皇宮護衛官又は交通巡視員であることを示す必要があるときは、証票及び記章を呈示しなければならない。

つまり

「警察ですけど~」

と言って職務質問などを執行をするときには見せる義務があります。

公務中の警察官に撮影拒否されても「証拠保全のため」

スマホでの録画

上記のとおり、公務中の警察官(公務員)にも肖像権はあります。

ですから「公務中の警察官(公務員)に肖像権はない」と言ってしまうと「いや、あります」と言われて押し問答になってしまいます。

正確には

「証拠保全のためなら肖像権の侵害にあたらない」

です。

さらに

「転び公妨されると困るから撮影する」

も理由になります。

転び公妨

(中略)

名称の由来は、警察官が被疑者に突き飛ばされたふりをし、自ら転倒または体当たりして対象者に公務執行妨害罪を適用し逮捕することからきている。主に公安警察が用い、不当逮捕・冤罪の温床になっていると法曹関係者からも批判されている[2]

出典:Wikipedia

弁護士

公道上で,事故の状況について証拠を保全するためであれば,運転手の顔がわかる写真を撮ったとしても,肖像権侵害で違法とされることはないと思います。

出典:弁護士ドットコム

弁護士

トラブルと無関係に予防的に常に撮影しているというのであれば問題があるかもしれませんが,実際にトラブルが発生してから証拠保全のために撮影というのであれば,許容される範囲だと思います。

出典:弁護士ドットコム