職務質問は任意?強制?弁護士「拒否できる」判例「簡単じゃない」

2022年4月15日

パトカー

YouTubeで職務質問の動画を見ているとかなり高い確率で「任意ですよね?」というセリフが出てきます。

しかしながらコメント欄を見ると「任意じゃない!応じる義務がある!」という意見も散見されます。

判例や憲法、弁護士の意見などをまとめた結果「任意」だけど判例によればかんたんには断れないということがわかりました。

まあ普通に考えて信憑性の高さで言えば

判例>=弁護士の意見>=法律の条文>YouTubeのどこの馬の骨だかわからんやつが勝手に解釈したコメント

となるでしょう。

「職務質問は任意なの?強制なの?」

今回はそんな疑問にお答えします。

職務質問は「任意」【弁護士が回答】

さらには、「職務質問や所持品検査に応じる義務とかあるのかないのか、その辺を法律ではっきりしてほしい」という声もあがっていた。職務質問や所持品検査は、わたしたちの身近にあるものだが、どんな場合、応じないといけないのだろうか。刑事事件にくわしい萩原猛弁護士に聞いた。

●職務質問の法的根拠は?

「世の中で頻繁におこなわれている警察官による『職務質問』や『所持品検査』の法的根拠は、現行法上、次の条文だけです。

『警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知っていると認められる者を停止させて質問することができる』(警察官職務執行法2条1項)

また、警職法2条3項は『・・・刑事訴訟に関する法律の規定によらない限り、身柄を拘束され、又はその意に反して警察署、派出所若しくは駐在所に連行され、若しくは答弁を強要されることはない』とも規定しています。

つまり、職務質問において、警察官が強制力を行使することを禁じているのです」

出典:弁護士ドットコムNEWS

ポイントは最後の1行ですね。

「職務質問において、警察官が強制力を行使することを禁じているのです」

職質について。職質を拒否することは出来るのですか?

(中略)

拒否できます。 基本的には、貴方が何かを拒否する場合でなく、警察が何かを強制するときに法的根拠が必要です。強制する方が法的根拠が必要なことは刑事訴訟法197条に記載されています。

出典:弁護士ドットコム

「拒否できます。」キッパリと名言されていますね。

警察官の職務質問に対する拒否は可能ですか?

→可能ではありますが,拒否したことが犯罪を犯したことを疑わせる事情になりかねないので,何もないのであれば拒否せずに応じるべきだと考えます。

出典:弁護士ドットコム

警察から、職務質問を受ける。
職務質問の時、名前、住所を答える。

答えたのに、警察署に同行を求められたり、その場から立ち去れと言われた場合は応じないといけないのでしょうか?

拒否できないのでしょうか?

(中略)

拒否できます。
法的には同行に応じる義務、退去の義務ともにありません。

出典:弁護士ドットコム

職務質問を断ってるのに、職務質問をしてくる行為は強制にならないのでしょうか?

(中略)

おっしゃるように職務質問は任意で対象者の了解のもとに行なう捜査方法です。
ですから、警察官はあくまでもあなたに協力を求めようとしているわけです。しかし、これを拒否しているのにしつこく協力を要請するのは実質強制と同じであり、許されないでしょう。

出典:弁護士ドットコム

弁護士が口をそろえて「拒否できます」と断言していますので、かなり信頼度が高いですよね。

職務質問は「即時強制」の対象だが最小限度でなければならない

六法全書

即時強制とは読んで字のごとく「すぐに強制すること」です。

では、執拗に職質に応じるよう求めることは違法なのだろうか。

「警察官が職務質問をした際、質問を受けた人が回答を拒否して立ち去ろうとした場合、警察官はただそれを黙認しなければならないとすると、犯罪の予防やその鎮圧といった職務質問制度の目的を達することができません。

そこで、最高裁判所は、個人の人権保障と社会秩序の維持の調和をはかるために、職務質問の際、警察官が質問を受ける人に対して、『一定限度の有形力』を行使することを認めています」

出典:弁護士ドットコム

基本的人権保護のために,その目的に必要な最小限度に止められなければならない。即時強制の手段としては警察官職務執行法に定める質問,保護,武器の使用 (2,3,7条) などのほか,立入り検査 (たとえば,食品衛生法 17) などがある。

出典:コトバンク

百科事典に書かれていました。

ここで忘れてはならないのは

「基本的人権の保護のために,その目的に必要な最小限度に止められなければならない。」

の部分です。

基本的人権(日本国憲法)が最高法規であるのは周知の事実でしょう。

ですから職務質問は「任意」であると言えそうです。

いちおう判例も見ておきましょう。

【判例】違法な職務質問と認定されたケース

警察官

「職務質問の許容限度を超え、違法なものだった」と認定。

判決などによると、京都府警宇治署員は2009年7月25日、宇治市内で男性に職務質問した際、明確に拒否されたのに、裁判所の捜索令状をとらないままウエストバッグのファスナーを開け、封筒に入った注射器や覚せい剤の粉末を確認した。公判で、検察側は「男性に逃げる気配があった」などと主張したが、坂口裁判官は退けた。

出典:朝日新聞

ありました。「京都地裁」「判例」「朝日新聞」。

情報源の信憑性としては申し分ないでしょう。

「明確に拒否されたのに職務質問をした」->「職務質問の許容限度を超え、違法なものだったと認定」

つまり職務質問は任意という判例ですね。

シロ
シロ
判例は最強です

【違法職質】兵庫県に対し3万円の支払いを命じる判決を言い渡した

2012年(平成24年)1月、神戸市須磨区内のレンタルビデオ店の駐車場に車を駐車させた50歳代の男性が、兵庫県警須磨警察署員らから職務質問を受け、車の車内やトランクの検査には応じたものの、助手席に置いていた鞄の検査を拒否したところ、同署員3人にパトカーの後部座席で取り囲まれ、最終的には鞄の中身を見せたものの、男性は県警の対応が違法であるとして、2015年1月に神戸地方裁判所に提訴。2017年1月12日に同地裁は、「犯罪を窺わせる事情が存在しなかった」などとして、兵庫県に対し3万円の支払いを命じる判決を言い渡した[20]。

出典:Wikipedia

拒否したのに強制された -> 違法職質と認定のパターンですね。

「2時間以上の職務質問は違法」判決

畠山稔裁判長は「職務質問開始から2時間たった時点で、任意捜査の許容範囲を超えていた」と指摘。

出典:弁護士ドットコム

裁判長が「任意」捜査と言ってますね。

こちらも基本的人権が守られたケースと言ってよいでしょう。

多くの警察官が「職務質問は任意です」と言っている

ここまで法律に基づいた情報を書きましたが、単純に考えてもわかることです。

YouTubeで職務質問の動画を見ていると大半の警察官は「職務質問は任意です」と答えています。

もし職務質問が強制や義務なら、警察官は「強制だ!」「義務だ!」って言いますよね?その方が早く警察官の仕事が進みます。

警察官が「任意です」と言えば仕事が面倒になるのは明らかです。

であるにもかかわらず「任意です」と言っているのですから、任意なのでしょう。

【矛盾】裁判所「拒否されてバイバイじゃ意味ないよね」

職務質問は,本来,警察官に対する自発的協力を期待できない者に対して実施されるものであるから,質問を拒否された際に,いかなる行動にも出られないとするのであれば,明らかに職務質問の目的を達し得ないからである。

出典:判例検索

そうなんですよね~。

 

「拒否します」

「あっそうですかさいなら~」

 

では職務質問の意味がない!

シロ
シロ
矛盾してますね

職務質問に関する判例が少ないため何とも言えません。

じゃあ職質廃止する?

ことはそう単純ではなく、警察活動のうち39.2%が職務質問によって検挙に至ってるんですよね。

職務質問のおかげで空き巣や通り魔、スリ、誘拐などの事件を未然に防いでくれているわけです。

【めんどくさいけど】職務質問の効果と早く終わらせる方法【対処法】

【結論】法律上は任意だけど実際は簡単に終わらない

上記の例で弁護士は「拒否できる」回答していましたが裁判所は「拒否されて終わりじゃ意味ない」という判例を残しています。

YouTubeで職務質問の動画を見るとわかりますが、拒否されても簡単には終わりません。

結局ケースバイケースということですね。